今年は秋冬のシーズンを迎え、今までにないペースで新型コロナウイルス感染症の感染拡大が起きてきています。今のところ、インフルエンザの流行はみられていませんが、インフルエンザとの同時流行が起これば発熱などの感冒症状の患者さんが多く出ることになります。ワクチンのニュースも出てきてはいますが、実用化は早くても来年になるでしょうし、治療薬がない現状でますます不安が募るところですが、新型コロナウイルスについては、いろいろわかってきたことがあり、今回はそれらを踏まえ、感冒の流行期の感染拡大をどうやって乗り切るかを考えたいと思います。
世間ではGoToキャンペーンが感染拡大の原因だとかいろいろ言われていますが、私はもっと根本的な問題があると思います。人の移動は確かにリスクを伴いますが、実際街に出てみて気づくことは、多くの人がきっちりと感染予防をしている中で、そうでない人達が少なからずいることです。❛GoTo❜により社会活動の制限が緩む分、感染予防は今までよりしっかりしないといけません。基本的予防策できていますか?自分は大丈夫という根拠のない自信をもっていませんか?新型コロナウイルス感染症の注意すべき点は、インフルエンザと異なり、感染しても無症状の期間が比較的長いことで、この期間に感染を広げてしまっているのです。今は風邪症状があれば誰もが気を付けると思いますが、無症状の人こそがしっかり予防しないと感染拡大は抑えられません。
何度も同じことを言いますが、新型コロナウイルスの感染経路は、直接触れるものからうつる接触感染と、咳やくしゃみで広がる飛沫感染があります。よって、感染しないためにはこの両方を防ぐことが大事で、手洗いと咳エチケットが基本となります(厚生労働省『感染症対策へのご協力をお願いします』https://www.mhlw.go.jp/content/000603845.pdf)。このうち、手洗いについては石鹸でしっかり洗うことがいいと言われていますが、洗いすぎると手荒れの原因となります。石鹸がない時には70%以上のアルコール消毒が有効ですが、石鹸で洗った後にアルコール消毒をする必要はありません。マスクは隙間ができないようきっちり装着してください。マスクの表面はウイルスが付着している可能性があるので、なるべく触れないようにしましょう。
また、①密閉空間、②密集場所、③密接場面の『3蜜』は、感染が起きやすい場面として認知されています(厚生労働省『3つの蜜を避けるための手引き!』https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000622211.pdf)。特に、飲食を伴う懇親会、大人数や長時間におよぶ飲食(アルコールが入ると気が緩むので特に注意が必要!)、マスクなしでの会話、狭い空間での共同生活、居場所の切り替わりといった場面では、感染の危険が高まるので特に注意が必要です。これからの季節は暖房を使い部屋を閉め切ることが多くなるため、定期的な換気が必要になります。30分に1回、数分程度窓を全開にしましょう。複数の窓がある場合は2方向の壁の窓を開放しましょう。病院も換気をしますので、受診する際はなるべく暖かい服装でお越しください。
その他、厚生労働省が発表している『新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識』 (https://www.mhlw.go.jp/content/000689773.pdf)には、新型コロナウイルスについて今までわかっていることがまとめられています。同じく厚生労働省ホームページにある『新型コロナウイルスに関するQ&A』(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html)もご参照ください。それから、早めの気づきで行動に注意できるよう、是非とも新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) のダウンロード(新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Application|厚生労働省 (mhlw.go.jp)をお願いいします。
新型コロナウイルス感染症は、正しく予防すれば感染拡大を抑えることができます。もし風邪をひいてしまった場合は、自己判断をせずに、かかりつけ医療機関に問い合わせて対応を相談してください。PCR検査も唾液で比較的安全にできるようになっています。しかしながら、忘れてはいけないことは、新型コロナウイルス以外に注意すべき病気がたくさんあることです。家族の健康を守るためには、規則正しい生活とともに、感染症対策として、各種予防接種をきっちり受けることが大切です。大人は家に病気を持ち込まないこと。体調の悪いときにお年寄りと接することは避けましょう。
新型コロナウイルスに感染しない、感染を拡大させないために、正しい知識で対処し、できるだけ日常生活を維持していくようにしましょう。